私を国立に連れてって

エピローグ



 決勝戦の勝利から数日。県予選の日程を終え本大会の初戦までしばらく期間が空いている今日、都本城高校サッカー部の彼らはいつもの学校生活に戻っていた。学校のチャイムの音、それもいつもの光景。ある休み時間、友美は彩乃に駆け寄った。



「ねぇねぇ、彩乃!これ見て!!」
 友美のテンションは妙に高く、すぐさま彩乃の机に手に持っていた雑誌を広げた。
「あれ?これ海本じゃない!なんで海本が雑誌が雑誌に載ってるの!?」
 なんと、雑誌のあるページに都本城高校サッカー部のFW海本宏樹が載っていたのだ。その雑誌は月刊サッカーマガジン。本戦前の特集が載せられ、注目ストライカーとして宏樹が紹介されていた。
「へぇ〜、海本ってそんなにすごかったんだ・・・・・。」
「でも、高崎と比べたら下手だけどね。」
 彩乃が感心したつかの間、すかさず友美は訂正した。確かに技術面では宏樹よりも高崎の方が上であったため、それは正しい。しかし、雑誌では高崎の事はピックアップされていなかった。エースストライカーで目立つ宏樹に対して高崎はFWながら地味なパサータイプ。目立つところを持ち上げるのが雑誌であるため、それは仕方ないところであるが。
「へぇ〜、そんなところまで知ってるんだ。」
 彩乃は今度は友美に感心した。
「いちおう、マネージャーですから。」
 彩乃の言葉に友美はえっへんと言わんばかりの態度を取った時、後ろから嫌なオーラを感じ取った。
「だ〜れが、下手だって・・・・・?」
「わぁ〜!出た〜!」
 友美はわざとらしく驚いてみた。やってきたのは宏樹と高崎だった。どうやら友美と彩乃の会話をかぎつけたようである。
「俺はお化けじゃないっつ〜の。」
 霊扱いされたので宏樹は少しご機嫌斜めだった。
「ところで、2人で何の話してたの?」
「サッカー部で一番うまいのは誰かな〜?って話してたところ。」
 その横では高崎がふと彩乃に尋ねていた。
「そんなん、俺に決まってるじゃねーか。」
 さっきまでご機嫌斜めだった宏樹が聞きつけんばかりに割って入ってきた。どうやらこの手の立ち直りは早いらしい。
「あれ〜?PK蹴れないのに〜?」
 立ち直った宏樹に友美がまたもや釘のささる一言を放った。宏樹は今度はだまってられず反撃。
「何言ってんだよ、決勝戦の俺のPK見てなかったのか!?」
 確かに。決勝戦のPKは宏樹が蹴り、ゴールを決めている。それは事実である。が、
「あれって、真ん中に蹴って、偶然決まったんでしょ?」
 真ん中に蹴ったのも事実である。それもど真ん中。両隅に決めれるならばPKが上手い、又はPKが蹴れると言ってもいいが、今回の宏樹のPKに関しては論議外の事である。
「何言ってんだよ?ちゃんとゴールキーパーの動きを読んで蹴った、正真正銘のゴールだぜ?」
 宏樹はアピールに必死だ。
「ねぇ、高崎?次からは宏樹にPK蹴らしたらだめだよ?」
 しかし、その声は友美に届いていなかった・・・・・。
「ホント、見ている方も冷や冷やだったんだから。」
 彩乃にも届いておらず・・・・・。
「そうだな。こいつに蹴らすのはやめとこう。」
 更には高崎までに見放されてしまった。
「おい!ヤス!てめぇ〜!」
 このどうしようもない気持ちの他先は高崎に向いた。高崎も自分に矛先が向くとわかっていたようで、宏樹のマシンガントークには冷静に受け流していた。そこの冷静さもさすがキャプテンである。
「でも、ホントよかったよね。やっと本戦に進めたんだから。」
 宏樹と高崎のやりとりの陰で彩乃は友美に聞いた。
「うん。」
 しかし友美の表情は曇った。
「あれ?あんまり嬉しくないの?」
 彩乃も少し心配になった。
「嬉しいのは嬉しいよ。けど・・・・・」
「けど?」
 しかしこの後、友美の表情はいつもの明るさに戻った。
「大変なのはこれからだよ?・・・やっと・・・やっと国立へのスタート地点にたったんだから・・・・・」
 
 

 確かに国立へ行くにはまだまだ道のりは長い。しかし、止まっていては前へ進むことができない。友美の表情はその決意でもあった。


 その表情には前を向く希望が溢れていた。




あとがき

 完成!!

 ということでこれにて完結しました「私を国立に連れてって」小説版。書き始めから1年以内になんとか書くことができました^^モチベーションの上がり下がりもありましたがそれを乗り越えることができました。

 今話は決勝戦後のとある日の教室の出来事ですが、最後はほのぼの感で終わりたいなとボイスドラマ制作当初から思ってました。こういう終わり方も自分的に好きな1つです。その後都本城高校が国立へ行けたのかどうかは・・・・・まぁ皆さんのイメージにお任せしたいと思います。それが続くように終わらせた1つの理由でもあります。

 おっと、今書いているうちにちょっと、if(仮)の話が浮かびました。

 今大会で都本城高校は国立まで行けなかった。しかし友美はまだ夢を叶えたい気持ちを持ち続けながら本校先生になった。その後、サッカー部コーチとして宏樹が着任。夢の達成は10数年ぶりに再び動き出す・・・・・。

 なんてものを(笑)本当に書くかどうかは??まぁ仮の話なので書くことはないと思います。

 ボイスドラマだった今作品を小説化した理由はいろいろありますが、最初の小説の作品はやっぱりこういう世界に入って最初の作品であるボイスドラマ「私を国立に連れてって」でやってみようという気持ちが働きましてこういう流れになりました。

 書き始めるにあたって、青春ドラマながら「サッカー」というテーマだったので難しい作品になるなと最初思いました。サッカーシーンは少ないですが、サッカーシーンを文字でどういう風に表現するか、どうすればわかりやすくなるかなど常に気にしながら書きました。皆様が知っていないサッカー用語もあろうかと説明も入れて書きましたが、最終的にはよく仕上がったなと、よくできたなと思えるくらいの作品になりました。


 最後に、この作品を最後まで読んでくれた皆様、本当にありがとうございました。この作品を読んでサッカーや青春ドラマに興味を持っていただければ私としても嬉しい限りです。またこういう作品を書くことがあれば、その時はこの作品を越えるような作品をつくりたいなと思います。繰り返しになりますが、


ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました。




展示:2008/11/3



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